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簿記2級は実務で役立つ?経理で感じた資格と仕事の違い

簿記2級は実務で役立つのかを経理経験者が解説する記事のアイキャッチ画像 資格の勉強法

簿記2級の勉強は範囲が広く、「こんなに難しい内容を、実際の経理で本当に使うの?」と思うことがあります。反対に、合格したあとで「資格は取ったけれど、実務経験がないから不安」と感じる方もいるでしょう。

こんな不安はありませんか
  • 勉強した内容が実務で使えるのか分からない
  • 合格したけれど実務経験がなくて不安
  • 会計ソフトの操作に自信がない
  • 2級まで取る必要があるのか迷っている
読者さん
読者さん

工業簿記まで勉強していますが、経理の仕事で本当に使うのでしょうか…。

カノン
カノン

すべての論点を毎日使うわけではありません。ただ、数字の違和感に気づく土台としては、確かに役立っています。

私の答えは、こうです。

簿記2級の知識は、経理の仕組みを理解し、入力された数字や仕訳の違和感に気づくための土台として役立っています。ただし、合格しただけで、どの会社の経理もすぐにできるようになるわけではありません。会計ソフトの操作、会社ごとの処理、資料の確認方法は、実務に入ってから覚える必要がありました。

私は製造業の工場で総務経理を担当し、今は会計事務所で働いています。この記事では、「勉強しておいてよかった」と感じた場面と、資格だけでは分からなかったことを、実際にしている確認の手順まで含めてお伝えします。

簿記2級は実務で役立つ|資格と仕事は別のもの

まず、簿記2級がどんな試験なのかを確認しておきます。

日本商工会議所は、簿記2級のレベルを「高度な商業簿記・工業簿記(原価計算を含む)を修得し、財務諸表の数字から経営内容を把握できるなど、企業活動や会計実務を踏まえ適切な処理や分析を行うために求められるレベル」と説明しています。試験科目は商業簿記と工業簿記、試験時間は90分、合格基準は70%以上です。

つまり簿記2級は、処理の考え方を学ぶ試験です。

一方、実際の経理の仕事は、その考え方の上に、次のようなものが重なります。

  • その会社や事業者が、これまでどう処理してきたか
  • 使っている会計ソフトを、どう操作するか
  • 資料のどこを見て、何を確認するか

「簿記2級があれば転職できますか」と聞かれることもあります。求人によっては評価材料になりますが、採用条件や実務経験をどれくらい重視するかは会社によって異なります。資格だけで結果が決まるわけではない、というのが実際に働いてみての実感です。

ここが「資格と仕事の違い」です。資格は仕事そのものではありませんが、仕事を理解するための土台になります。簿記の土台があると、教わった内容を理解しやすくなります。

簿記が好きになり日商簿記2級を取るまで

私が簿記に出会ったのは、高校生のときでした。授業で学び、全商簿記2級を取得しています。

面白いと感じたのは、数字のつじつまが合って、最後にぴったり一致する瞬間でした。合わないときは必ずどこかに原因があって、探していくと見つかる。そのしくみが、パズルのようで楽しかったのです。

社会人になってから受けたのが、日商簿記です。3級に合格したあと、そのまま2級の勉強に進みました。3級は、私の場合は約1か月の勉強で合格できました。

3級はゼロからの1か月ではなかった

ただし、私はまったくのゼロから1か月で合格したわけではありません。

高校生のころから簿記が好きで、部活動から帰ると、毎日のように問題集を解いていました。社会人になってからは記憶がかなり薄れていましたが、一度しっかり勉強した経験があったため、学び直すと比較的早く思い出すことができました。私が約1か月で3級に合格できたのは、この土台があったからです。

そのため、初めて簿記を学ぶ方が、私と同じ期間で合格できるとは限りません。短期間で3級に合格できたとしても、仕訳の考え方が十分に定着しないまま2級へ進むと、商業簿記や工業簿記で苦労する可能性があります。

2級の勉強は、3級で学ぶ借方・貸方や、資産・負債・純資産・収益・費用といった基礎の上に積み重なっています。合格までの早さだけを目標にするよりも、3級の問題を見たときに、なぜその仕訳になるのかを説明できる状態にしておくことが大切だと思います。

その土台があった私にとっても、2級はまったく別物でした。範囲が広く、正直に言ってかなり難しいと感じました。商業簿記に加えて工業簿記があり、連結会計にも取り組みました。連結会計は時間をかけて勉強しましたが、私が受けた回では出題されず、今では記憶が薄れている部分もあります。

それでも続けられたのは、転職のためだけに勉強していたわけではなかったからだと思います。簿記そのものが面白くて、気づけばはまっていました。日商簿記2級に合格したのは、2022年12月です。

私の簿記の歩み
  • 高校生:授業で簿記に出会い、全商簿記2級を取得
  • 社会人:日商簿記3級(私の場合は約1か月)→ そのまま2級へ
  • 2022年12月:日商簿記2級に合格
  • 働いた場所:製造業の工場で総務経理 → 現在は会計事務所

工場経験が工業簿記につながった

なお、簿記2級を取る前に、製造業の総務経理課で約3年ほど働いていました。本社は別にあり、私は工場の勤務でした。担当していたのは、小口現金の管理や、棚卸のあとの入力などです。「総務経理課」という名前でしたが、実際は総務の割合が多く、企業の経理全体を経験したわけではありません。

当時は、まだ日商簿記の勉強をしていませんでした。ただ、高校時代に取得した全商簿記2級を履歴書に記載しており、面接官から「よく勉強しましたね」と言っていただいたことを覚えています。採用の決め手だったかは分かりませんが、一つの評価材料にはなったのかもしれません。

とはいえ、取得してから時間がたっていたため、簿記の知識はかなり薄れていました。棚卸後の入力を担当していたときも、教わった手順に沿って入力することで精いっぱいだったと思います。

その後、日商簿記2級で工業簿記を勉強したとき、最初は難しいと感じました。それでも学び続けるうちに、製造業で経験した棚卸や工場の数字と、勉強している内容が少しずつつながり、だんだん面白くなっていきました。

「働く前に工業簿記を勉強していれば、もっと数字の意味を理解しながら仕事ができたのに」と思うこともあります。順番が逆だったらよかったのかもしれません。ただ、先に工場での実務を経験していたからこそ、教科書の内容を具体的な仕事と結びつけて理解できた面もありました。

もし当時の私に今の知識があれば、棚卸後の数字をただ入力するだけではなく、そこから工場の状況を読み取ろうとしたはずです。仕事の意味がもっと分かり、より興味を持って取り組めたのではないかと思います。

会計事務所で勉強しておいてよかったこと

簿記の知識が実務で働くとき。①簿記の知識がある、②数字や仕訳に違和感を持つ、③過去の帳簿や証憑を確認する

ここからが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。

会計ソフトの結果をそのまま受け取らない

今の仕事では、会計システムが計算や処理を支えてくれます。入力すれば集計され、必要な表も自動で作られます。

それでも、「入力した結果が正しいか」は、人が確かめる必要があります。入力した内容や前提が違っていれば、出てくる数字も違ってくるからです。

このとき助けになるのが、簿記の知識です。

  • 貸借の関係から見て、この残高はおかしくないか
  • この科目に入っているのは、本当にこの取引か
  • 前の期と比べて、動きが不自然ではないか

こうした違和感を持てるかどうかが、確認の入口になります。基礎知識がなければ、数字の違和感に気づきにくいこともあります。

「資格が入力してくれる」のではありません。入力された結果を見て、立ち止まれる。私が実務でいちばん助けられているのは、この部分です。

教わった処理の意味が分かる

実務では、先輩や担当者から処理の仕方を教わります。そのとき、借方と貸方、資産・負債・純資産・収益・費用といった基礎が頭に入っていると、話がつながります。

操作の手順を丸暗記するのではなく、「なぜこの処理になるのか」を考えられるからです。理由が分かっていれば、少し違う場面が来たときにも応用がききます。

簿記2級の勉強は、この「理解の速さ」の部分で、確実に効いていると感じます。

会計事務所の求人では、「日商簿記2級」を応募条件や歓迎資格として掲げているものをよく見かけます。一方、私の実務上の感覚では、日常の記帳で中心になるのは、まず3級で学ぶ基本的な仕訳です。2級で学んだすべての論点を、毎日のように使うわけではありません。

それでも、2級まで勉強したことで、処理の背景を理解し、数字の違和感に気づく力は深まりました。実務の土台になるのは3級の確かな理解であり、その土台を広げてくれたのが2級だったと感じています。

長く勉強したから定着した

もう一つ実感しているのは、勉強を続けた期間そのものが力になっているということです。

私は3級に合格したところで終わらず、そのまま2級まで勉強を続けました。同じ論点を何度も見て、問題を繰り返し解きました。その時間があったからこそ、今も使える知識として残っているのだと思います。

合格証をもらった瞬間より、そこに至るまでの反復のほうが、仕事に生きています。

2級を持っていても実務で覚えたこと

ここも正直にお伝えします。資格があれば全部できる、ということはありませんでした。

会計ソフトごとの操作

会計ソフトは製品ごとに画面も入力方法も違います。資格の勉強でソフトの操作までは身につきません。ここは、実務に入ってから覚えました。

ただ、簿記の知識があると、「今、何を入力しているのか」は分かります。操作を覚えるのと、意味を理解するのは別の話で、後者はすでに持っている状態で始められました。

会社・事業者ごとの勘定科目や処理

同じような支出でも、どの科目を使い続けてきたか、どう処理してきたかは、会社や事業者によって違います。教科書どおりの科目が、その事業者では使われていないこともあります。

だから、迷ったときは自分で決めません。私は、次の順番で確認しています。

  1. 前年度・前々年度の帳簿を確認する
  2. 同じような取引の仕訳がないかを探す
  3. 自分なりの仕訳案をメモして検討する
  4. 証憑や、会計ソフトの公式マニュアル、公的な情報で確認する
  5. 判断が必要な場合は、自分だけで確定せず、担当者や税理士に確認する

この手順は、簿記の試験では習いませんでした。「分からないことを、推測で確定しない」という姿勢は、実務に入ってから身についたことです。

税法や個別の判断は試験とは別

簿記2級に合格したからといって、税務の判断ができるようになるわけではありません。制度に関わることや、個別の事情をふまえた判断は、最新の一次資料を確認し、税理士に確認する領域です。

私がしているのは、あくまで処理と確認の補助です。ここは、線をはっきり引いておきたいところです。

資格で学べること(仕訳の意味と考え方、数字のつながり、入力結果への違和感)と、実務で覚えること(会計ソフトごとの操作、会社ごとの勘定科目や処理、資料をたどって確認する手順)の比較

私が簿記2級に合格するまでにした勉強

参考までに、私の勉強の仕方も書いておきます。合格の近道を示すものではなく、私の場合はこうだったという話です。

動画で理解する

3級・2級ともに、ふくしままさゆき先生のYouTube動画を中心に学習しました。特に工業簿記は、理解できるまで何周も繰り返して見ました。

問題集を繰り返し解く

3級では「スッキリ」シリーズの問題集を1冊使いました。2級では商業簿記と工業簿記に分け、「みんなが欲しかった!」と「スッキリ」のシリーズを複数冊、繰り返しました。

動画を見ているときは「分かったつもり」になりますが、問題を解くと手が止まります。この差を埋める作業が、いちばん時間がかかりました。そして、そこがいちばん力になった部分でもあります。

なお、私が受験したときは、問題集よりも本番のほうが素直な問題だと感じました。ただ、これは私の受験時の感想です。試験の難易度は回によって変わりますので、一般論としては受け取らないでください。

私が使ったのは受験した当時の版です。これから買う方は、現在の試験範囲に対応した最新版を確認してください。

資格以外に準備したいこと

資格の勉強と合わせて、やっておくとよかったと思うことが4つあります。

1. 仕訳問題を実際に解く

読んで分かることと、自分で書けることは違います。1日1問でも、手を動かす時間をつくると理解が定着します。

2. Excelの基本操作に慣れる

入力、並べ替え、簡単な集計ができると、仕事の入口でつまずきません。難しい関数まで覚える必要はないと感じています。

3. 求人票で仕事内容と使用ソフトを見る

経理といっても、担当する範囲は会社によって大きく違います。使っている会計ソフトも会社ごとに違うので、応募前に見ておくと、入社後の想像がしやすくなります。会計ソフトを事前に完璧に使えるようにしておく必要はありません。入ってから覚えるもので、会社によって製品も違うからです。

4. 確認したことを記録する

実務では、聞いたことを次に自分で再現できるかが大事になります。確認した内容をメモに残しておくと、同じことを何度も聞かずにすみます。

事務職には経理のほかにも、総務や秘書といった仕事があります。どの職種が自分に合いそうか迷っている方は、経理・総務・秘書の違いの記事で、実際に働いた経験をもとに整理しています。

簿記をこれから学ぶ人へ|自分に合う方法を選ぶ

学び方は、今いる段階によって変わります。3つに分けてご紹介します。

A. まず簿記に触れてみたい人

いきなり教材を買わなくても大丈夫です。無料の動画や教材で、簿記の雰囲気に触れてみてください。

日本商工会議所のサイトでも、簿記3級・2級・1級の講義と教材を無料で提供しているサービスとして「CPAラーニング」が案内されています(運営はCPA会計学院)。まずはこうした無料のもので、「面白そうかどうか」を確かめるところからで十分です。

B. 3級から順序立てて学びたい人

動画と問題演習を順番に進めたい方には、オンスク.JPの日商簿記3級講座も選択肢になります。公式サイトによると、講義動画・練習問題(仕訳問題を含む全489問)・ダウンロード教材がセットで、月額プランと一括プランが用意されています(2026年9月19日時点で、月額1,078円から/税込)。

私はオンスクで簿記を学んだわけではないので、中身の感想は書けません。だからこそ、申し込む前に無料体験で、講義の進み方や画面が自分に合うかを確かめてみてください。

\ まずは無料体験で確かめられます /

スキマ時間を有効活用できる【オンスク.JP】

C. 3級レベルから2級を目指す人

独学で続けられそうなら、それが一番お金のかからない方法です。ただ、「一人だと続かない」「学習の順番を決めてほしい」という方には、通信講座という選択肢もあります。

通信講座にもいろいろな形があります。動画中心のもの、紙のテキストが届くもの、添削や質問ができるものなど、進め方はサービスごとに違います。私はどの講座も利用していないので、中身の感想は書けません。選ぶときは、次の点を見比べてみてください。

  • 動画中心か、紙の教材中心か
  • 問題演習や模擬試験がついているか
  • 質問や添削のサポートがあるか
  • 受講できる期間はいつまでか
  • 価格が自分の予算に合うか

紙の教材で、添削を受けながら進めたい方には、ユーキャンの簿記2級講座があります。公式サイトによると、一括払いは49,000円(教材費・指導費・税込、送料は同社負担)。標準学習期間は6か月で、受講開始から12か月まで指導を受けられます。添削は5回、質問は1日3問まで。教育訓練給付金(一般教育訓練)の対象講座です(2026年10月7日時点)。

私はユーキャンを利用していないので、教材の中身や使い心地は書けません。無料のお試しや資料請求ができるサービスもあります。時期によって割引のキャンペーンが行われていることもあるので、申し込む前に、必ず公式ページで最新の内容と価格を確認してください。

\ 講座一覧から「簿記(2級)講座」を開けます /

ユーキャンの全講座一覧

まとめ|資格は仕事を理解する土台

最後に、この記事でお伝えしたことをまとめます。

  • 簿記2級の知識は、数字や仕訳の違和感に気づく土台として、実務で役立っている
  • 一方で、会計ソフトの操作や、会社ごとの勘定科目・処理は、実務で覚えた
  • 迷ったときは、過去の帳簿や証憑を確認し、判断が必要なことは担当者や税理士に確認する
  • 合格証よりも、繰り返し勉強した時間が仕事に生きている

資格を取ることだけにこだわる必要はありません。それでも、テキストを読み、問題を繰り返し解いた時間は、入社後に仕事を理解する力になります。基礎知識があることで、教わったことがつながり、「分かる」「できる」が少しずつ増えていきます。

仕事が分かるようになると、働くことも楽しくなっていきました。

今日できる小さな一歩として、次のどれか一つから始めてみてください。

  • 簿記3級のテキストを1ページ読んでみる
  • 仕訳の問題を1問だけ解いてみる
  • 気になる求人票を開いて、仕事内容と使用ソフトを見てみる

参考資料(2026年9月19日確認)

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